中国民航総局(CAAC)によるボーイング787承認遅延の狙いは

今年に入ってボーイング787に目立ったトラブルが相次ぎ、米連邦航空局(FAA)はボーイング社とともに787の合同審査(Joint Review)を行うことになりました。
このことは利用者にとって良いことであり、その成果は本機の安全性向上に寄与することが期待できます。

こうした動きの影で報じられ、国内ではあまり注目されていないようなのが、中国民航総局(CAAC)による認可が遅れていて、同国の中国南方航空や海南航空が導入計画の変更を強いられているというニュースです。
朝日新聞デジタル:米ボーイング、787型機の中国航空会社への納入が遅延

787に限らず、航空機を運行するには、その国において耐空性の証明(安全性の承認)が必要で、通常は機種型式ごとに「型式証明」を得ることになります。
ボーイング社で開発製造された787の場合、米国FAAの型式証明を得ているわけですが、787を輸入して運用する各国では各国ごとの型式証明が必要です。

多くの国では、米国との間にBAAやBASAと呼ばれる相互承認協定を締結しているので、米国製旅客機に対する承認はスムーズに行われるのが普通です。
米国と協定を結んでいる国は日本も含めて現在30カ国を超えており、中国も1991年10月にBAAを締結しています。

しかし、なぜか中国における787型機の承認は、スムーズに進んでいない。
報道を引用すると、

CAACは7日、ロイターへの電子メールの返信で「ボーイング787型機の証明に関する認可プロセスは依然として進行中だ。証明発行の時期はボーイングと米連邦航空局(FAA)の協力の度合いにかなり左右される。現在のところ、プロセスは順調に進んでいる」と明らかにした。

ということです。
さて、「ボーイングとFAAの協力度合いによる」というのは、ボーイングとFAAが中国航空当局に「非協力的」なんでしょうかね?

私が考えるに、中国当局が787の承認に時間をかけている理由は、

1. FAAによる型式証明プロセスについて徹底的に情報を収集し、審査や試験のノウハウを得ようとしている

2. 米国機の輸入に対して強硬な姿勢を見せることで、将来の自国機輸出における駆け引き材料にしようとしている

のどちらか、あるいは両方だろうと思います。
日本だったら、まず計画遅延を強いられる航空会社が悲鳴を上げるでしょうが、中国では共産党政府に逆らうものはありません。
こういうなりふり構わない技術吸収こそが、急成長の背景であることは間違いないところであり、複雑な気持ちになってしまいます。

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