【読書】飛行機技術の歴史

刊行されてしばらくAmazonのウィッシュリストに入れてあったのだが、さる書評ブログを目にしたことで背中を押されて買ってしまった。
価格なりに分厚い本だが、原書も丁寧に書かれているうえ、訳文も平易でこなれており、読み進めるには全く苦労しない。数式もほとんど出てこないから、文科系の高校生でも問題なく読めるだろう。

ありきたりな「技術解説本」ではなく、飛行機「技術史」のドラマを楽しませてくれる一冊である。
特に、著者はライト兄弟の技術的成長を丹念に検証していて、彼らが動力飛行に成功する以前の航空技術を理解することで、ライト兄弟の成功が歴史の必然であったことや、彼らの偉大さについて、改めて知ることができる。
また、第一次大戦当時の空力および構造設計面での進歩と、ジュラルミンの発明がもたらした影響なども、具体的な事例を挙げながら説明されており、本書の一部分を読むだけでも、飛行機を見る目が変わってくるだろう。もちろん、第二次大戦および戦後の目覚ましい発達についても、多くの知見を得ることができ、飛行機ファンにとって楽しい刺激に満ちている。

なお、「航空機技術」ではなく「飛行機技術」とあるとおり、本書では回転翼機(ヘリコプター)については一切触れられていない。それでも、本書は航空技術に関心を持つすべての人におすすめしたい一冊である。


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