航空ミステリー「推定脅威」

先月上梓された松本清張賞受賞作「推定脅威」。
著者は戦闘機開発の経験を持つ元技術者という触れ込みだが、受賞作発表のニュースは僕にとって大きな驚きだった。
確かに著者は戦闘機開発の現場にいて、僕も同じ職場にいたからだ。受賞のニュースに彼の本名はなかったが、写真の顔は昔とあまり変わっていない。
当時以来ずっと会っていないけれど、初めて書いたという小説で大きな賞を射止めたことが、自分のことのように嬉しく思える。

発売日にさっそく読んでみたけれど、とても読みやすくて、ストーリーもちゃんとしている。
エンタテインメントだから現実からの飛躍はあるが、そこに「現実を知っている者」の節度が働いていることが、この小説の売りだろう。
現実に立脚するあまり小説としての魅力を失ってしまうこともなく、一般の読者にとって面白い小説になっていると思う。
イラストが得意だったはずの「未須本 有生」氏が、これほど華々しく小説家デビューを果たすとは思わなかった。今後の活躍に大いに期待している。


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