ほんとうにパラダイス山元さんは「公認」サンタクロースなのか?

日本で唯一「グリーンランド国際サンタクロース協会」の公認を受けたサンタクロース、として精力的に活動しているパラダイス山元さん。
サンタクロース活動のほか、本業はマンボ音楽家だったり、完全会員制の餃子店主だったり、飛行機乗りオタだったり、様々な活動をしていらっしゃる。
僕は「公認サンタ」と「飛行機乗りオタ」だということしか知らなかったけど。
そのパラダイス山元さん、「フィンランド政府公認サンタクロース」という触れ込みでイベントを催したりすると、以前から猛烈な勢いで抗議していた。その結果、訴訟問題にも発展したことがあったのである。
訴訟問題に発展!? 公認サンタを巡る大人の争い
この当時、僕はパラダイス山元さんのことを「ずいぶん心の狭いサンタクロースだな」と思ったし、そんな人物に「公認」を与えているのもどうかと思ったし、「公認」サンタクロースの行動として適切なのか、という疑問を持ったりした。
まあ、パラダイス山元さんには好感を持てなかった。

そんなパラダイス山元さんなのだが、この年末にネット上に火種を投げ込んできた。

隣国の慰安婦問題にあれほど熱心な報道姿勢を貫く産経新聞が、日本の子ども、親たちが蹂躙されている由々しき案件を、なんの裏も取らずにプレスリリースをただ漫然と垂れ流す異常ぶり。インチキ捏造朝日とまったく同じ道を歩んでいることに、直ちに気づき、猛省されたし。

インチキ捏造朝日というのは、もちろん従軍慰安婦問題に関わる「吉田清治の虚偽情報」を踏まえてのことだ。
朝日新聞がこの「吉田証言」がガセであったことを認めたことを、従軍慰安婦問題の否定に利用しようとしているのが、産経新聞をはじめとするネトウヨである。
パラダイス山元さんは、すっかりネトウヨなのである。
Facebookでも、下のような書き込みをしていた。

明日の朝刊1面は「本日をもって朝日新聞は廃刊いたします。これまで国民のみなさまには、捏造、暴行、盗撮等々、多大なご迷惑をおかけいたしましたことを心よりお詫びいたします」なら許す。

朝日新聞を嫌うのは個人の勝手で構わないが、公共のネット上でこういう発言をする人士を「公認サンタクロース」として認めるというのも疑問だし、従軍慰安婦問題に対する姿勢を考えれば、パラダイス山元さんは、およそサンタクロースに相応しくない人物である。
僕は、パラダイス山元さんが公認を得たという「グリーンランド国際サンタクロース協会」に苦情を述べようとしたところ・・・。

その「グリーンランド国際サンタクロース協会」というものが存在しないようなのだ。

日本では、japan-santa.comというドメインが登録されていて、そこに © Greenland international Santa Claus Association Japan Chapter. all rights reserved.というクレジット表記があるが、トップページは存在せず、本部や他の支部へのリンクもない。
また、「グリーンランド国際サンタクロース協会」を名乗るFacebookページもあるが、代表「パラダイス山元」と書かれた「日本支部」のページのようだ。

これらついては、既に先行研究が「ネットロアをめぐる冒険」というサイトで詳しく行われていて、今回の件を巡って更新もされていたので、そっちを紹介したい。
【検証中】グリーンランドのサンタクロースはホンモノでフィンランドはニセモノか、サンタのお家騒動
こちらのサイトでは「「グリーンランド国際サンタクロース協会」というのは、フィクションの存在なのではないでしょうか。(2017年12月29日時点の記載)」と書いておられるけれども、まあはっきり言えばパラダイス山元さんは「虚構」の組織による「公認」を掲げてらっしゃるのだなあ、という結論は、僕もまったく同じである。

しかし、それで報酬を受けていたとしたら、それは「詐欺」ではないのか。

しかし。
パラダイス山元さんは「グリーンランド国際サンタクロース協会」が非営利団体であると述べており、フィンランド公認などと称するサンタクロース関連イベントを攻撃していらっしゃるのではなかったか。
Yahoo!知恵袋でも、以下のような理解をしている人がいた。

グリーンランド国際サンタクロース協会は実在しますし、非営利団体であり苦労して公認を受けてサンタクロースになったことで(金銭的な意味で)特をすることはありません。」

ふむ。
パラダイス山元さんのTwitterでは、次のように書かれていた。

「公認サンタクロース」そのものは無報酬です。デンマークで開かれる「世界サンタクロース会議」への渡航費も、福祉施設などの訪問も自己負担です。テレビやイベントなどの出演で報酬が発生する場合があります。その報酬は、全額、日本ユニセフ…ではなく、パラダイス家の食費になります。毫末之利。

なるほど。
テレビやイベントなどの出演で報酬が発生する場合があります。その報酬は、全額、日本ユニセフ…ではなく、パラダイス家の食費になります。
それは非営利事業といえるのか?
そもそも、非営利団体(NPO)なら収支報告書があるだろうけど、存在すら疑わしい「グリーンランド国際サンタクロース協会」日本支部の収支報告はどうなっているのか。
そして、「グリーンランド国際サンタクロース協会」や、その日本支部は、非営利法人として登録されているのか?
謎が謎を呼んだので、パラダイス山元さんのTwitterアカウントに質問してみようかと思っていたら。

ブロックされていた。
素早い。
おまけに。

「パラダイス山元」と名乗るダミーアカウントがいくつもできていた。(笑)
なんなのだこれは。

そうこうしていたら、Twitterで面白そうな情報が寄せられた。


この小山薫堂さんという人が、どうやらパラダイス山元さんのビジネス非営利活動に一役買っているようだ。
そして、この「オレンジ・アンド・パートナーズ」サイトの中にあるページでは、こんなことも書かれている。

この商品はグリーンランド国際サンタクロース協会日本支部から「サンタクロースにふさわしいお菓子」というお墨付きもいただている。

日本支部から「お墨付き」をいただいたそうです。
まあ、パラダイス山元さんから、ってことでしょうけどね。
グリコさんのページでも誇らしげです。よかったですね。

グリコさんは「グリーンランド国際サンタクロース協会日本支部」の社会奉仕活動に貢献したんでしょうね。
まあ僕はパラダイス山元さんの書き込みを見てグリコ不買を誓ってしまいましたけども。(笑)
とにかく、パラダイス山元さんのサンタクロース商売活動には、いろいろ面白そうな舞台裏がありそうなのです。


熊本のブライトリングDC-3

ブライトリングDC-3ワールドツアーとして、時計メーカーのブライトリング社がDC-3で世界一周飛行を行っている。
日本でも数カ所を訪問するのだが、熊本を訪れた同機を見るために、ゴールデンウイークの4月30日、熊本空港へ出かけてみた。
熊本は、僕の住んでいる中部地方からも航空便でのアクセスが便利だ。中部国際空港からもANAの便が飛んでいるが、今回は名古屋小牧空港と熊本空港を結んでいるFDAを利用した。

熊本空港では、まず空港ビルの展望デッキからDC-3を撮影することにした。
午前中なら順光で写真が撮れる。
DC-3は、当日3回の飛行が予定されていた。まずは離陸するDC-3。

帰ってきたDC-3のタキシング。星型エンジンのサウンドが心地よい。

滑走路を挟んだ反対側にも、多くの愛好家が車で乗り付けてカメラを構えている。

DC-3は崇城大学のエプロンを使っていた。
午後は、空港デッキを離れて、崇城大学エプロンの脇から写真を撮ってみた。

DC-3以外にも、撮りたかった飛行機が撮れた。天草航空のATR42-500だ。
イルカをモチーフにしたデザインの塗装が施されている。

これは熊本空港の外に展示されているYS-11。
こういう展示機も、飛行機マニアにとっては大事な被写体である。

お目当てのDC-3は無事見ることができて、満足な熊本遠征であった。


MRJ 5回目の納入延期:理由とその考察


1月23日、三菱航空機は、開発中の旅客機MRJについて納入スケジュールの延期を発表した。
2018年半ばに予定されていた量産機の引き渡し開始が、これで5回目となる今回の延期で、2年遅れの2020年半ばに修正された。
これまでの計画遅延については、Aviation Week & Space Technology が掲載した下のグラフのとおりである。

MRJ納入延期の履歴
(出典 Aviation Week & Space Technology)

-延期の理由は
今回の延期理由は、搭載機器の配置変更と、これに伴う電気配線(ワイヤハーネス)の全面的な見直しという設計変更のためだという。
航空機の飛行制御コンピュータなど重要な電子機器は、1台が故障しても機能を失わないように、3台あるいは2台が積まれて、冗長性を持たせている。
MRJでは、冗長化したこれらの機器を一箇所の電子機器室にまとめて置いていたが、これを機体の前後に分散配置するように改め、単一箇所への水漏れなどで全部が一度に故障することを防ぐ、ということだ。
また、これに伴ってワイヤハーネスも全面的に変更されることになる。
MRJは、日本の航空局(JCAB)の耐空証明に加えて、アメリカ連邦航空局(FAA)の耐空証明と、欧州航空安全機関(EASA)の耐空証明を取得することになっているが、アメリカFAAの耐空証明を取得するためには、この設計変更が必須になったものと思われる。
しかし、なぜ今ごろになって、こんな大きな設計変更を迫られる事態になったのだろうか。

-なぜ今頃になって問題になったのか
新型航空機の設計開発は、段階を追って進められる。
まず最初に、どんな航空機をつくるのか、という構想を立て、構想図という簡単な図面にまとめる。アイデアを技術資料や図面の形にする作業で、この構想に対して、開発のゴーサインが出されることになる。
次に、計画図という図面を作っていく作業がある。計画図は、機体の構造や機器の配置などを決める図面で、これによって機体の基本設計が完成する。
ここまでが「基本設計段階」だ。
そして、計画図に基づいて、今度は実際の部品製造や組み立てなどに使う製造図が描かれる。これが「細部設計段階」だ。
この細部設計の成果である製造図面を用いて、試作機が製造される。
今回の設計変更にあるような基本的機器配置は、上述したうちの「基本設計段階」で決定されることである。本来なら、既に試作機が完成して飛行試験たけなわの今頃になって指摘されることではない。
しかし、この背景には、旅客機開発における日本の経験不足がある。

-MRJの開発体制と経験の不足
日本の航空局(JCAB)では、MRJの型式証明に備えて組織を整え、基本設計の段階から全面的な支援をしてきた。
その支援の中には、設計資料の書類審査なども含まれており、基本設計段階からJCABが深く関与してきているのだ。
従って、本来なら、基本設計の段階で、JCABが今回のような設計不備を指摘するべきだったはずだ。
しかし、JCABにはそれができなかった。
なぜか。
JCABは、YS-11以来、旅客機の型式証明を審査する経験を持たなかった。最新の欧米における耐空証明事情については何もわからない。
耐空証明の合格基準は、実際に起きた事故や危険事象を反映して、年を追うごとに更新され、厳しさを増していくのだ。
この遅れをキャッチアップするため、JCABはFAAなどとも連絡を図りながら体制を整えたものの、最新のFAAにおける審査基準について十分把握できていなかったのだろう。
また、三菱航空機側でも、アメリカから最新の事情に通じたエンジニアを招き入れていたものの、その体制でも、基本設計段階で問題を見抜くことはできなかった。
すなわち、日本では官民ともに経験が不十分であり、その経験ギャップを埋めることができていなかった、というわけだ。

-これ以上の遅延はありえるのか
今回の事態を受けて三菱航空機では、これまで意思決定に関与できなかった外国人経験者が直接指示を出せる新体制に改めるという。
これ以上の後戻り作業が発生することを避けるには、FAAの型式証明の事情に明るい経験者を、今まで以上に積極的に活用する必要があると考えたのだろう。
機器配置やワイヤハーネス設計を、計画図段階にまで引き返して設計し直すには、相当の労力と時間がかかる。それが、今回の約2年の遅延ということだ。
その結果、開発スタートの当初、2013年からの量産機引き渡しが計画されていたのに対して、7年もの遅れが発生することになる。
また、これからも飛行試験やFAAの審査次第では、更なる設計変更が発生する可能性は否定できない。むしろ、何事も起こらないと考えるほうが難しいだろう。
しかし、既にMRJの開発は引き返せない段階に達している。少しでも少ない遅れで量産が始められるよう、切に願っている。


沖縄での不時着事故に見るオスプレイの脆弱性

オスプレイ2016年12月13日夜、沖縄県名護市の沿岸にオスプレイが不時着し大破した。
ニュース等によれば、夜間空中給油訓練中に、給油機からの給油ホースが切れて、オスプレイのプロペラ(プロップ・ロータ)を破損したのが原因だという。
ただし、何らかの理由で切れたホースが当たったのか、プロペラに当たったことでホースが切れたのか、そのあたりははっきりしない。
いずれにしても、ホースが当たったことでプロペラが破損したことは確かなようだ。

さて、プロペラを破損したオスプレイはどうなるか。
通常の双発飛行機なら、破損したプロペラ側のエンジンを止めて、片発飛行で帰還すれば良い。
しかし、オスプレイの場合はそうは行かない。
オスプレイは、片方のプロペラを止めて飛行することができないのだ。
このあたりは以前のエントリ「オスプレイの安全性を考える – ハザード検討の一例」に詳しく書いた。
すなわち、今回の事故は、通常の双発飛行機であれば不時着大破や墜落などという事態には至らない事象であり、プロペラ不具合に対するオスプレイの脆弱性が顕在化したものといえる。

では、ヘリコプターと比較してではどうか。
ヘリコプターの場合も、ローターの機能に障害が出れば、墜落もしくは不時着を強いられることになるだろう。
空中給油の際に、ローターがホースに触れてしまえば、オスプレイと同じことではないのか。
これについては、件の軍事ブロガー(笑)JSFさんが、興味深い動画を教えてくれた。
(もちろん既知の動画だが、わざわざtweetで教えてくれたJSFさんに敬意を表して引用させていただく)

この動画では、CH-53ヘリコプターが空中給油中にピッチングを起こし、ホースではなく自機の受油プローブをへし折っている。
JSFさんは、これを示して「CH-53も危険だ」と言いたいのかもしれないが、そうだろうか。
だって、このCH-53、ホースよりも強度の高いであろう金属製のプローブをへし折っているが、その後も平然と飛行しているではないか。(笑)

そう、ヘリコプターのローターが空中給油中にホースに接触しても、ただちにローターが破壊されるようなことは、まずない。
ヘリコプターもバカではないから、ローターにそれなりの強度を持たせているし、ホースだって無用に強いわけではない。

では、オスプレイのプロペラは、なぜ壊れてしまったのか。
オスプレイのプロペラは、ヘリコプターのローターよりも弱いのか。

弱いのである。わざわざ弱く設計してあるのだ。

オスプレイは通常ヘリコプター・モードで離着陸するが、なんらかの理由で、飛行機モードで不時着陸しなければならない場合もある。
(今回の事故でも、飛行機モードで不時着している。)
滑走路等に飛行機モードで不時着する場合、プロペラが大きいため、そのままでは地面に接触してしまう。
その際、プロペラの強度が強すぎると安全に不時着できないため、地面に接触したプロペラは、竹箒のようなささら状に壊れるようにしてあるのだ。
つまり、オスプレイのプロペラはヘリコプターのローターほど強くはない。それが設計の仕様なのだ。

以上のことをまとめると、次のように言えるだろう。
空中給油時のホースとプロペラ(ローター)の接触インシデントに対して、オスプレイは

  • 双発飛行機のようなロバスト性(強健さ)はない
  • ヘリコプターほどのロバスト性もない

ということだ。
つまり、オスプレイはこの種のインシデントに対して、従来の航空機よりもずっと脆弱なのである。
おまけに、オスプレイはプロペラの描く円盤面積が大きく、この種のインシデントを起こしやすい。
これはオスプレイの設計上の仕様であり、免れ得ない特徴だ。

今回の事故を受けて、米軍は”「オスプレイの機械的なシステムの問題ではない」として、機体の問題でないことを強調した”(朝日新聞より)という。
これを受けて、件の軍事ブロガー(笑)JFSさんも「今回の夜間空中給油訓練はオスプレイの機体欠陥とは公式にも見做されないので、いくら欠陥だと騒いでも無駄です。」と上記に引用したtweetで仰っている。

僕はJSFさんのいう「欠陥」というのが何をイメージしているかわからないし、何が無駄なのかもわからないが、とにかくJSFさんはオスプレイが無謬の乗り物だと言いたいらしい。笑止である。

上記に示したように、空中給油という運用(オペレーション)に関わるハザード・リスクに対して、オスプレイは従来の航空機よりも脆弱である、ということは事実であり、その事実がはしなくも今回の事故で示されたといえる。

とはいえ、僕は以上の事実を持って「オスプレイは危険だー!」と叫ぶつもりはないのである。
これも以前からの繰り返しになるが、こうしたリスクを十分に認知したうえで、安全な運用を行っていくことが必要なのだ。
ただし、このような脆弱性を抱えている以上、空中給油という高リスクの運用について、運用者は従来以上に慎重な対応が求められる。
そして、重度の難治オスプレイ信仰者であるJSFさんには、ご病状の安定をお祈りする次第である。


技術実証機X-2が初飛行から半年以上飛ばなかったわけ – 荷重較正の話

先進技術実証機X-2は、2016年4月22日に初飛行して岐阜基地に着陸して以来、11月下旬になろうとする現在も飛行試験を始めていない。
10月30日の岐阜基地航空祭では一般に地上展示されたが、かれこれ半年以上も飛行していないことになる。
この間、X-2は何をしていたのか。
11月18日の航空新聞社WINGのツイートが下のように報じている。


そう、荷重較正をやっていたのである。
今回は、荷重較正とはなにか、ということについて書く。

航空機の飛行試験において、機体の構造各部に加わる荷重を計測することは、しばしば重要な課題である。
設計範囲内の荷重に収まっているか、予想外の荷重が発生していないか、ということをモニターしながら、飛行試験を行うのである。
機体の各部にかかる荷重を測るためには、対象箇所に歪ゲージ(Strain gauge)というデバイスを貼り付ける。
歪ゲージは、貼り付けた部分に生ずる応力によって抵抗値が変わり、電圧を変化させるデバイスだ。これを使うことで、局部に加わる荷重を知ることができるのだ。

歪ゲージの図

歪ゲージ(共和電業ホームページより)


飛行試験機の機体各部には、この歪ゲージがたくさん貼られている。
しかし、単に歪ゲージを貼り付けただけでは、正しく荷重を知ることはできない。
当たり前だが、計測部分にかかる応力(ひいては荷重)と歪ゲージの抵抗値を、きちんと対応させておかないと、荷重を知ることができない。
そこで、実際に機体に荷重をかけ、計測部分にかかる荷重と歪ゲージの抵抗値を対応させる(較正する)作業が、荷重較正だ。
この作業の一例が、NASAのレポートの中にあったので下に転載しておく。
NASAでの荷重較正の一例

NASAでの荷重較正の一例


こういう計測作業を、主翼、尾翼、あるいは胴体に対しても行い、荷重と歪ゲージの抵抗値を対応させておくのだ。
関係者によっては、この作業を「荷重較正”試験”」と呼んだりもするが、この作業そのものは試験ではなく、飛行試験の準備作業にあたるものだ。
しかし、単に”準備作業”と言うには大掛かりな作業であり、機体のセットアップから作業終了まで数ヶ月を要するのが普通だ。
X-2が半年ばかり飛ばなかったのは、飛行試験を始める前に、この荷重較正を含む準備作業が必要だったからだ。

この荷重較正作業、通常の試作機では会社側で行うことが多いのだが、X-2の場合は防衛省に引き渡された後に実施されたということだ。
聞いているところでは、初飛行時に岐阜基地に降り立ってから、すぐに荷重較正作業にかかったとのこと。
10月30日の岐阜基地航空祭のときには普通に展示されていたから、それまでには作業が終わっていたのだろう。

このほかにも、飛行試験に備えて地上で行う作業として、機体の空力弾性振動特性を把握するための「地上振動試験(Ground Vibration Test:GVT)」などもあり、初飛行前後の試作機が地上で行うべきヘビーな作業は少なくない。
従って、ロールアウトや初飛行の前後に、数ヶ月のオーダーで飛ばない期間が存在することは、当たり前のことなのだ。