韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(6)

日本側の「新証拠」

日本側が、P-1の機内映像に続いて「新証拠」を公開するようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40219240Z10C19A1000000/

報道によると 「レーダーの電波を受けた際に音声に変換」した音声情報のようです。
「捜索用のレーダーなら周期的に強弱を繰り返す音になり、火器管制レーダーは強い音が一定時間続く。」ということを根拠に、受信したレーダー電波の信号が、360°回転しながら電波を出す「捜索用レーダー」ではなく、目標に指向した「火器管制用レーダー」のものであることを示す意図がある模様です。

この理屈で言うと、たとえば捜索/水上射撃管制を担うMW-08レーダーは毎分27回転するらしいので、約2秒周期で音の強弱が繰り返される音になるはず。
一方、目標に指向されるSTIR-180であれば、一定の強さの連続音になるのだ、ということです。

それは証拠たり得るのか?

確かに、回転するレーダーから発射される電波の強度は、P-1で受信したときには強弱を繰り返すことになります。 しかし、その信号は本当に強弱を繰り返す音に変換されるのでしょうか?
というのも、P-1の搭載している装置が「電波強度を音の強弱に変換するから、周期的に音の大きさが変わる」という前提は本当に正しいのか?という疑問があるのです。

もし、本当に、受信電波の強度が弱い場合は音が小さく、強度が強くなると音が大きくなる、という仕様であったら、遠方から微弱なレーダーの電波を探知した場合、ほとんど音が聞こえない、ということになってしまわないのでしょうかね。
そして、今回のようにレーダーの近傍で受信した場合、耳が壊れるほどの大音量になってしまわないのでしょうか。

いやいや、電波が弱ければ聞こえるように増幅し、強すぎたら適切な音量に調節されるに決まってるじゃないか、と言われるかもしれません。
しかし、もしそのような機能を有しているとしたなら、とりわけ今回のようなレーダー近傍で受信した場合、レーダーが回転していようが指向されていようが、受信電界強度としては飽和してしまって、連続音になってしまうんじゃないの?という疑問があるわけです。

韓国側は「不正確な情報」だとして公開することに抗議したらしいですが、 そういう懸念を持ってるんじゃないでしょうか。

日本側はなぜ基本的な情報を公言できないのか

これは前から言っていることですが、日本側はいまだに「どの型式のレーダーで照射されたと考えているか」も公式に表明していませんし、「どの周波数バンドだったか」も表明していません。

日本政府は、「火器管制レーダーの照射を受けた」という根拠になる「受信電波諸元」についてなにも説明せず、P-1乗員が「FC系が出てる」と言っていること、すなわちP-1の逆探システムが「FC系の電波」と判定したという「結果」だけを述べているわけです。

今回公表するという「連続音」というのも、P-1のシステムが電波を音に変換した「結果」の情報であって、そのインプットとなった電波そのものについて、日本側は全く説明しようとしないことは、まったくもって不可解です。

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韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について(6)」への20件のフィードバック

  1. 2秒より大きな時間区間で振幅の最大値を測定し、それに反比例する増幅率の増幅をすれば2秒毎に鳴るパルスを連続音にすることなく増幅できます。通常はそのようにします。

    1. 記録された受信データを、あとになってオーディオ化するならそのとおりだろうと思いますが、今回提示されようとしているのは、P-1の機上システムによって「リアルタイムで」オーディオ化された音声データだと思います。
      そのオーディオ信号への変換ロジックが明らかであるか、少なくとも同じ方法でオーディオ変換された他のレーダー電波との比較がないと、このデータは「証拠能力」がないと思います。

      1. 第一に、リアルタイム処理であっても2秒間隔のパルスと連続音が見分けが付かなくなるような急峻な増幅率調整をするはずがないことは想像できるはずです。通常の音声に掛ける程度の増幅率調整がリアルタイムでも掛けられるものと考えるのが普通だと思います。

        第二に、公開すると言っているのだから、提示すれば証拠となり得るようなものが録音できたのではないですか?証拠になり得ないと言うのであればなぜそんなものを公開すると言ったのだと考えられるのですか?

        1. レーダーに詳しい人には「証拠となり得るようなものでない」としても、
          一般人を騙して味方につけるには十分だと判断したら公開するんじゃないですかね?
          安倍さんはそういうモラルは無いから。
          実際それで支持率上がっちゃったし。

      2. 仮に新鋭のP1に(近距離では)火器官制レーダーを対水上用か対空用か識別する能力がないのだとしたら、P3C始めこれまでのあらゆる航空機にもそんな能力はなかった筈で、今更誤認するとは考え難いと思いますが

        1. 航空機側のシステムには、当然その「能力・機能」はあるんですが、搭乗員がその機能を使うように「操作」をしなければ、識別することはできないんです。

          1. つまり田母神氏の話も合わせると、乗員はそれ程の大事になるとは思わず水上用か対空用か確認をしなかった、それで出せる筈のデータも出せないのではないか?という事ですかね。

          2. そうだと思います。
            少なくとも機内映像では確認していませんから。

  2. ブースカ様、初めまして。
    一連の記事をいつも拝見させていただいております。

    日韓レーダー照射問題にまつわる情報なのですが、もしかしたらご存知かもしれませんが、3日前に韓国の聯合ニュースから興味深い記事が出ておりました。
    http://yna.kr/AJP20190118001900882

    この記事によると、韓国軍の消息筋が、広開土王級駆逐艦と共に救助活動に参加していた海洋警察の警備艇も漁船探索の為にレーダーを稼働させていたと明かしたようです。
    警備艇のレーダーは火器管制・探索兼用のレーダーで、周波数帯域がIバンドの為、誤認された可能性があるのではないかと推測されているようです。

    P-1がこれを誤認した可能性もあり得るのでしょうか?

  3. レーダーの周波数や特性の詳細を明かさないのにはいくつか理由が考えられる。

    ・就航間もないP-1の性能を知られるような情報は極力出したくない。

    P-1はまさに最新鋭機なので、こんな下らない事案で掛けた金が無駄になりかねない危険を冒したくない可能性。

    ・レーダーやアンテナの企業が根回ししている

    件のレーダーの製造国オランダやP-1の受信装置を製造している日本企業からの働きかけがある可能性。
    国内企業はともかく海外企業はよくわからないところでアメリカを刺激したりする事があるので日和ってる?

    いずれ、自衛隊の相手は韓国だけでなく中国や北朝鮮、ロシアなので韓国が駄々をこねた時点で日本側の完全勝利はない(情報公開に限界がある)。これは日本側の失策だろう。
    だが、これを機に国民は韓国が北と急接近している事を再認識したし、大統領以下多くの韓国民が日本を仮想敵国視している事を再認識できたのは良かったと思う。

  4. 毎日毎日間断なく、手を変え品を変え、日替わりでばら撒かれる醜悪な差別。
    醜悪なレイシストがばらまく”差別与太”を”情報”として扱う異常な民族。

    細かい知識や情報の正誤以前に、人としての根本に問題がありますよ。
    ブースカさんには悪いけど、間違いなく腐ってますよ、貴方の同族は。

  5. はじめまして
    一読させて頂きましたが今回あなたがこの記事を書くにあたりご自身でレーダー機器や電波を音に変換するロジックなどお調べになりましたか?報道機関の情報だけで書いているためか考察にもなっていないし根拠のない薄っぺらい文章だと感じたのが率直な感想です。
    また基本的な情報が日本は公開されないことについて触れられていますが「なぜ」公開されないのか考えましたか?軍事に関する情報をほいほいと開示するという愚かなことなど普通はしないと容易に想像できると思うのですがね

    1. 僕は防衛装備品に関する仕事も長くしてきましたので、出せることと出せないことがあるのは、百も承知の上で書いております。
      そのうえで、出せるはずの情報を出していない、と言っております。

  6. 防衛省の新証拠とやらは、でっち上げも可能な証明能力のきわめて低いデータだと言えます。
    日本国内でも裁判に出せば、「証拠能力なし」と即座に却下されるに違いありません。
    またこの証拠を出して直ぐに交渉打ち切りとするのは、よほど証拠に自信が無いと取れます。
    こんなものしか証拠として出せない防衛省に、お国を任せるのには一抹の不安を感じます。

    >>「軍事に関する情報をほいほいと開示するという愚かなことなど普通はしない」
    というコメントが有りますが、相手を論破できるデータ及び論破する能力が無いなら、最初からグチャグチャ言うべきではないでしょう。
    都合が悪いと「軍事機密」を持ち出すのは、裁判で黙秘をするようで、何かを隠していると勘ぐられ、あまり頭のいいやり方だとは思われません。
    もっと頭を使ったやり方を防衛省には望みたいものです。

    韓国はP3Cの接近飛行の証拠として、レーザー距離計(かな?)の画面を公開しています。
    でっち上げの可能性も有りますが。少なくとも防衛省の音より数倍マシな論拠でしょう。
    これでは勝負になりません。

    >Blog主へ
    このblogの主張は、国内では少数派ではないかと思われますが、論旨に賛同しております。
    出所不明の情報に踊らされず、真っ当な解説を今後もよろしく願います。

  7. ・救助の妨害行為
    韓国の海難救助艇の乗組員はヘルメット上のカメラで常に映像記録を行なっている。セウォル号事件でもそうだったし、今回も北の漁船に接近している際の映像を公開している。
    自衛隊機が救助を妨害するほどの危険な飛行を行なったなら、その様子なり音声なりすぐに公開できるはずだが韓国はできていない。

    海軍艦は救助対象からかなり離れた場所におり、実質的に人命に関わる救助に参加していたわけはなく、すでに待機状態であったと推察できる。

    救難活動をしていると認識しているにせよしていないにせよ、担当海域上の艦船の行動を近くで観測するのはどこの国でもやっていることで、それがなぜ救助活動を妨害する危険行為なのか誰も説明できていない(飛行中の救難ヘリに急接近したとかならまだしも)。

    ・当該海域について
    韓国の艦船が暫定海域で救助活動をしたからと言って、特に問題ないのはわかる。
    しかし、だからと言って「国際法や慣例で認められる範囲であっても近接して観測してはならない」という法はあるのか?
    日本側が国際法や慣例を破った確たる証拠を韓国は出せていない。

    そもそも、徴用工問題で日本企業を守りたい日本にとって、レーダー照射を公開しない(韓国に舐められても騒がない代わりに判決どうにかしろ)という選択肢はあってもレーダー照射を捏造しておまけに公開する(韓国の態度を硬化させるだけ)選択肢はないと思われる。

    韓国政府の発表も当初二転三転していた。

    つまり、今回の事案を公開して韓国の態度硬化を増長させたのは失策だが、韓国艦が戦闘用レーダーを照射した事自体は事実だと考えられる。

    であるなら、どこの海域だろうと、友軍だろうと仮想敵国だろうと、平時に向けることを戒められている攻撃用レーダーを照射する事を是とする法はどこにあるのか?

    そこを無視してはならないのではないか。

  8. https://twitter.com/asuka_SGP/status/1089343247040696321

    私はツイッターのアカウントもう作れないのでちょっと書かせて下さい。

    反捕鯨のニュース、実は我々にとってこれは日本物とは違った視点があります。
    それはつまり、「在日の(より正確には日帝の被害者の)命はクジラ未満なのか」と。
    どこの国にだって虐げられている人はいるし、動物愛護も大事ですけど、
    日本に関しては”過去盛大にやらかしておきながら許してもらった国”だろうと。
    今の国際体制の根本をなす要素に関わる楔をさされてる国だろうと。

    にも関わらずやってきたことは敗戦処理のやり直しを受けるべきレベル。
    なのに”クジラで動く人々が人間に対して動かない”のは絶望しかありません。

    世界は日本物を知らなさすぎる。”jap risk”を真剣に考慮すべきだと思います。
    放置してれば必ず、また世界に災厄をもたらすことは火を見るより明らかなんですから。

  9. 再びこちらに失礼します。
    ここひと月強の論調を見ていると、照射問題はなんだか刑事事件の冤罪問題を髣髴とさせるようにも感じられてきました。状況証拠はあるのに自白しないから犯人だ、みたいな流れといったらいいのでしょうか。単に日韓関係にとどまらず、市井の人間の自国の公権力に対する意識という点でも見るべき点があるように思います。

  10. https://twitter.com/Tamiful07/status/1091434269036077056
    >ハロワ行けばわかるんだけど、「人が生活することを考えてない低賃金求人」がゴマンとあるわけだが、ほんとそういうのを「入れて」有効求人倍率とかいうのやめてほしい。

    ↑こういうことを言ってる輩が、

    https://twitter.com/soraniwanatu/status/1091629898496495622
    https://twitter.com/kiteruwkiteruw/status/1091624329387757568
    https://twitter.com/sharenewsjapan/status/1091567237469659136

    ↑こういう思考を持っているという現実。
    そしてこれが”民族レベルで蔓延してる”ということこそ,、日本物固有の問題です。

    歴史修正主義に積極的に加担しておきながら不景気もクソもないわけで。
    無茶苦茶な政治を選んできた馬鹿民族の自業自得ですよ。

    本当に悲惨なのは、そんなことは全く選択していないのにそのツケをまず背負わされる在日ですよ。

  11. ブログ主 様

    レーダー照射問題の真相を知りたくて、本件について言及した記事等を幅広く目を通しており、貴殿の一連の関連記事も大変興味深く拝見しています。

    その上で、自分のなりの見解をまとめるとともに、関連記事等を備忘録的にブログに綴ってみました。
    3つ目の記事の中で、貴殿のブログも簡単に紹介させていただきました。

    ・レーダー照射問題の真相を今一度考える
     https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/02/05/235000

    ・軍事評論家は、日韓レーダー照射問題をどう論じたか
     https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/02/06/235000

    ・日韓レーダー照射問題は、メディア・リテラシー、クリティカル・シンキングの好材料である
     https://syakai-no-mado.hatenablog.com/entry/2019/02/08/235500

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