戦闘機部品メーカーの撤退相次ぐ

F-2戦闘機の部品製造メーカーのうち、20数社が戦闘機事業から撤退する、という報道がありました。
「戦闘機:部品製造の二十数社、撤退へ FX機種選定遅れで」
記事を読む限り、ニュースソースは航空宇宙工業会のようです。
戦闘機の調達推進を望む業界団体が、危機感を煽るような情報をリリースしているわけで、ちょっと宣伝臭がするものの、日本の防衛航空機事業が縮小傾向なのは事実です。
ニュースでは、次期戦闘機(F-X)の選定が大幅に遅れていることを要因に挙げ、このままでは日本で戦闘機を製造できる技術基盤が失われてしまう、と警鐘を鳴らしています。
この問題については、防衛省でも「戦闘機の生産技術基盤の在り方に関する懇談会」として有識者会議を設けており、こちらのページで概略が公開されています。
特に、このページに掲示されている配布資料には、戦闘機の開発・製造技術に関してまとめられているほか、防衛航空機産業各社の赤裸々な本音も書かれています。
これら資料を読むまでもなく、軍用航空機の開発や生産は、いわゆる航空機メーカーだけで成り立っているものではありません。また、各企業が参画しているのは戦闘機だけに限りませんから、この問題の影響は、既に他機種にも等しく及んでいます。
また、航空機産業における技術力の低下や、基盤の空洞化は、日本だけの現象ではないようです。あまり具体的に書くと、またヘンな人たちを刺激しそうなのでやめときますが(笑)、欧米でもけっこう大変みたいですよ。
その一方で、なりふり構わず防衛技術基盤を育てている中国の成長は、目を見張るものがありますね。いろいろ複雑な思いもありますが、追う立場の強さを感じます。
さて、日本の政府、防衛省は、防衛航空産業の技術基盤をどう育てていく考えなのでしょうか。
この問題については、FS-Xの国内開発頓挫を皮切りに、もう20年も迷走状態が続いています。
その迷走ぶりは、以前のエントリで紹介した「甦る零戦」にも書かれているとおりです。
今回報道された問題に対しては、懇談会を開いただけでは、何ら直接的な成果が得られるものではないでしょう。しかし、なんとか将来への見通しを得て、技術基盤が失われないようにしたいものです。


【ここから追記】
ところで、防需航空機関連の仕事は、高度な設備や厳格な品質基準が要求され、固定費がかかる一方で、生産数は限られており、あまり企業の利益には繋がりません。
防衛産業は、儲からないと思ったほうがいいのかもしれません。
これまでは、技術力の向上などを期待して、積極的に受注しようとする企業もありましたが、もう、そういう時代でもなくなったのかもしれませんね・・・。


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