羽田空港の都心ルートについて

あまり関心を寄せていないテーマだったんだけど、羽田への着陸機が東京の都心上空を通るようになるという話題が、ちょっと前からいろいろ報じられているようです。
ここでは2つの点について書いておきます。
いずれも「航空評論家」の人がどこかで触れていそうな話題だと思うのですが。

進入降下角度について

都心上空を通って着陸する場合は、騒音を防止するため降下角度を3.5°にするという。普通は3°なので、0.5°の増加である。
0.5°というと些細なように思われるかもしれないが、パイロットにとっては決して小さな数字ではないと思う。

非常に特殊な例だが、かつて低騒音STOL実験機「飛鳥」では、降下角度が6°に設定されていた。僕もこの飛鳥の着陸をシミュレータで試してみたことがある。滑走路脇にあるPAPIという灯火を6°のパスに設定して、その表示を手掛かりに降下するのだ。
(ちなみに、飛鳥がSTOLで着陸するときは、管制塔に「PAPI STOL」と宣言して設定を6°に切り替えていたものである。)
しかし、6°の進入では滑走路が眼前にそそり立つように見える。降下角度というのは、数字の上では僅かな差でも、パイロットにとっての違いは驚くほど大きい。

そして、この3.5°については、やはり元日航パイロットの航空評論家である杉江さんらが、反対を表明しているようだし、デルタ航空も懸念を示しているようだ。
この3.5°というパスは国内外で採用している空港もあるようなので、国交省としては大きな反対は起きないと考えていたのかもしれないが、パイロットの体感としては、そう軽くない差だと思う。
ちなみに、通常の降下角3°の空港で言うと、3.5°のパスはPAPIが4つとも白く点灯するレベルである。

AVwebより転載:滑走路左脇がPAPIの灯火
降下角度によるPAPIの表示

落下物は機体部品だけではない

降下角度の話とは別に、気になっているのは落下物のことだ。
国交省では、webサイトで落下物対策について宣伝しているが、点検を強化すると言っているだけで、実効性のある対策があるわけではない。

上記リンクにも書かれているが、落下するのは飛行機の部品だけではなく、氷塊の落下もある。氷塊は落ちた後ですぐ溶けてしまうので、報告例が少ないだけで、実際は部品より氷塊の方が多く落ちているだろう。(後述)

で、国交省のサイトでは給水口やドレンの凍結防止だけを謳っているが、これは酷いと思う。
これらについては、機体の設計においてヒーターを設置するなどの対策もされているし、それほど大きな問題になることはなさそうだからだ。
懸念すべきなのは、そういう対策のできない、もっと大きな氷塊ではないのか。

大きな氷塊というのは、具体的に言うと、離陸時に降着装置(脚)などに付着した雪が固まったものである。
飛行機は離陸したらどんどん外気温が下がっていくので、着陸のために再び高度を下げるまで、それらの氷は溶けることがない。そして、着陸のために脚を出した時に、その氷が落ちるのである。

この問題は以前からよく知られていて、成田空港では、氷塊の落下を防止するため、脚下げは洋上で行うなどのルールを定めている。(飛行機マニアなら知っている人も多いのではないか)
そして、成田空港がリンク先で書いているとおり、「落下物のほとんどは氷の塊」なのである。
羽田ではどうするのか。
この件については、国交省の説明に不誠実なものを感じるのだが。

追記

Yahoo!ニュースから杉江さんのインタビュー録画を知りましたが、なんと羽田の都心上空ルートって、3,45°をRNAV進入でやるつもりなんですね。
うーん・・・、そりゃあ抵抗あると思いますね。

羽田は世界でもっとも危険な空港になる https://www.videonews.com/interviews/20200220_sugie/

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