福島県警AW139墜落事故について(その3)

福島民友新聞が続報を出していた。

メイン・ローターがテイルブームに接触し、ドライブシャフトを折ってしまったということらしい。

事故直後のパイロットが「風に煽られた」と言っていたのは、乱気流によって機体が大きく動揺したことに伴い、メインローターがテールに接触したということだったのだろう。

この可能性には、まったく思い至らなかった。

実は、メインローターでテールシャフトを折ってしまうという事故は、ときどきある。
しかし、操縦経験の浅い自家用操縦者や訓練生が多いと思う。
日本国内の例では、訓練生(というか体験搭乗の客)が操縦するロビンソンR22が、テールを叩き折って南海電鉄の線路上に墜落した事故があった。(報告書のページ

今回の事故では幸いにも死者は出ていないので、どういう状況だったのか、十分な検証を期待したい。


福島県警AW139墜落事故について(その3)」への2件のフィードバック

  1.  こんばんは。Lです。今回もとてもタメになります。
     ローターが回転軸と関節で繋がっていることも大きく撓ることも知っていましたが、機体を打つほど大きく動くとは思っても見ませんでした。おっかないです。
     そういえば、リジッドローターなるもののがあるそうですが、この場合はなんぼか堅い?ので機体を打つ可能性は低いのでしょうか?また、このようなことがそこそこあるなら、バランスが悪くなるのかもしれませんが、テイルローターへの動力軸を尾部ブームの下側に通したらいくらかマシな気がします。そうすると別のの問題が起きるのでしょうか?こうした配置の機体を思い出せないのですが、いくつかありますか?

    1. メインローターがテイルブームを叩いてしまう事象は、「マスト・バンピング」とも呼ばれます。ベル206、UH-1やAH-1、そして自家用として普及しているロビンソンR22、R44、R66など、シーソー式の2枚ローターを持つ機種に顕著で、低G状態では起きやすいです。
      米軍の運用でも、UH-1やAH-1などによる低空の地形に沿った匍匐飛行(Nap of the Earth)で、数多く発生したと言われています。
      おっしゃるとおり、リジッド・ローターでは起きにくい現象で、関節型ローターであっても、AW139のような機種で、しかも巡行中には、そう簡単に起きるものではありません。
      そのため、今回の事故がマスト・バンピングによるものであるとは、まったく想像していませんでした。なにが起きたのか、詳しい調査が待たれます。
      テイル・ローターのドライブシャフトを下側から通すというアイデアですが、寡聞にしてこうした機種を知りません。ドライブシャフトをメイン・ローターの可動範囲から大きく離すのは、トランスミッションとシャフトの配置の面から難しいのだろうと思います。

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