マスクの転売

なんだかマスクやトイレットペーパーがフリーマーケットで高額転売されて、とうとう国が規制するという話になって、どうしようもねえな感が溢れかえっています。
あちこちで、マスクの転売は是か非かみたいな話もされていますが、これは自由主義経済の宿痾なので、なにを今さらというお話でもあります。

自由主義経済では、需要に対する供給が少なければ、モノの値段が上がるのが当たり前で、その仕組みによって需給のバランスが取れて、本当に必要な人にモノが行き渡るようになったりするわけです。
転売を是とする人たちは、だいたいこういう理屈を言いますし、それも間違ってはいません。

しかし、今回のマスクやトイレットペーパーの場合は、そういうわけにはいきません。
これは、転売屋が暴利を得ることが問題だとか、買えない人がかわいそうだとかいう次元ではなくて、それこそが自由主義経済の限界を示しているからですよ。

この自由主義経済というのは、突き詰めると、格差を拡大再生産してしまう仕組みです。
お金持ちにしか買えない商品が存在するとしても、それがくだらないブランド品や高級車くらいならいいのですが、生活必需品や医療物資だったりしたら、それは結果的に社会の崩壊を招いてしまいます。
なので、こうした事態が発生しないよう、市場には適度な規制が必要なわけです。

今回のマスクやトイレットペーパーは、本来なら規制するべきような品物ではないでしょうが、流言飛語による大衆の不安心理などで需要過多が生じてしまったために、こうした事態になりました。
これを機会に、一歩進んで、新自由主義と格差社会について、日本の人たちも考えを深めてくれるといいのですが、残念ながらそういう気配は一切ありませんねえ。

(・ω・)


マスクの転売」への2件のフィードバック

  1.  Lです。その通りですね。先ごろ、話題になった水道私物化解禁とか作物種子の権利私物化解禁とかはそういうテーマでした。
     誰もが生きていくのに必要なものというものはプライベートではなくパブリックにして全員に開いていくというのが、人権思想というか自然権だと思うのですが、本邦の実相は「中世」どころか口頭決裁が罷り通る律令制(大宝律令701年:公文書には日付と決裁者の署名捺印で責任を明らかにせよ等)の更に前、「古代の古代」なわけでまことにしょっぱい限り。マ元帥が「12歳のガキ」と本邦のステージを評価したのはまだお世辞の部類であります。「人権」とか「主権者国民」とかの観念は革命や植民地独立闘争とセットですから、これらの通過儀礼を経ることのできなかった本邦民はいわばネオテニー(幼生のまま性成熟)なのでしょうねえ。馬鹿でスケベで残忍で思いやりがなくわがままなのは残念ですが当然かも(ハツカネズミの子供に性ホルモンを注射していくと子供のまま性成熟するが、脳の発達が止まって不器用のままになるそうな。また、かの大松監督は”生理が遅いほど伸び代が大きい(ウギャア)”と見ていた由)。

  2. 日本では「人権の尊重」を「利己主義の甘やかし」と区別できないような人もウヨウヨいるくらいなので、民衆の基盤的な思考水準は、いまだ近代に届いておりません。
    とはいえ、トランプ政権の誕生などに見られるとおり、程度の差こそあれ、欧米先進国でも残念な状況ではあるようですが。

    日本がネオテニー国家であるという見立ては、まさにそのとおりです。
    近代国家の基礎的概念を生む契機となったウェストファリア条約が1648年、その後、世界はアメリカ独立やフランス革命などを経る中、日本列島は鎖国した幕府のもとで封建制社会を築いていたわけです。
    国際情勢の中で国民国家を作り上げる必要に迫られ、やむなく「皇国史観」という、でっち上げの「歴史」と「国家宗教」を拵えて建国したのが日本であって、いわば日本は世界でも稀な「成功したネオテニー国家」だったと言えるのではないかと思います。
    本来であれば、第二次大戦の敗北で「帝国」が滅亡した際、第二の建国を図るべきであったわけですが、そこで「天皇制」という「国体」護持と引き換えに、アメリカの属国となる道を選んでしまったので、こんなことになってしまった。
    もう21世紀も早20年が経ってしまいましたけれどねえ。

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