米空軍の公式サイトに、Luke AFB changes refueling truck color, mitigates F-35 shutdowns という記事があって、航空機マニア向けのサイトで紹介されていた。
記事によると、
“The F-35 has a fuel temperature threshold and may not function properly if the fuel temperature is too high”
「F-35には燃料温度の制限値があって、燃料が高温になると正常に機能しなくなる可能性がある。」という。
そして、
“We are taking proactive measures to mitigate any possible aircraft shutdowns due to high fuel temperatures in the future.”
「F-35の”シャットダウン”を防止するための対策として、燃料車を白く塗って、搭載する燃料が高温になるのを防止する」んだそうだ。
さて、これはどういうことかというと、機体の表面に開口部や突起物を設けることを嫌うステルス機の場合、電子機器からの排熱が通常の熱交換器で十分に逃すことができないので、燃料による冷却に頼っているのである。言ってみれば、燃料タンクを巨大なヒートシンクに使うわけだ。
そのため、燃料があまり高温になると電子機器の冷却ができず、コンピュータが「シャットダウン」してしまうことになる。
搭載される電子機器は、燃料流量の低い地上点検時から既に負荷がかかる。気温の高い基地での運用には気を使うだろう。
また、任務を行う中で燃料が減少すれば、熱を逃がせるヒートシンクが小さくなることになる。
もうひとつ加えておくと、この「ヒートシンク方式」では熱が機体に貯まることになるため、赤外線センサによる被探知性能の面では不利になってしまうという悩みもある。
これらは、ステルス戦闘機を設計するうえで、難しい課題のひとつだ。
この問題はステルス機に共通する悩みどころだが、特にF-35は、ずっと以前からこの問題を抱えていると報じられていた。戦術用電子機器の発熱量が大きいと思われることや、機体規模が小さく燃料容積は小さいことなど、F-22に比べてもF-35は条件が不利なように思われる。
なお、米空軍の報道を受けて、無邪気に「F-35の致命的欠点」だなどと書き立てている中国のメディアもいくつかあるが、中国製のJ-31戦闘機が同じ問題に悩まされないとは限らない。
このほかにもステルス戦闘機には従来機にはなかった課題がいろいろあって、飛行機マニアとしてはとても興味深いのである。