映画「ストックホルムでワルツを」

公式ホームページより
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映画「ストックホルムでワルツを」

観てきました。
原題は「Waltz for Monica (Monica Z)」。
スウェーデンの生んだ女性ジャズ・シンガー、モニカ・ゼタールンドの伝記映画です。
本国のスウェーデンや北欧では”Monica Z”といえば彼女のことなんだけど、日本ではジャズ・ファン以外には知名度が高くないようです。

1937年生まれのモニカ・ゼタールンドは、ビル・エヴァンスとの共演(1964年)で世界に知られるようになったジャズ・シンガーで、スウェーデンの国民的歌手。日本で言うなら美空ひばりみたいな存在かもしれません。

モニカを世界的に有名にしたこの「Waltz for Debby」は、日本でも多くのジャズ・ファンに親しまれている名盤で、僕が彼女のことを知ったのも、このレコードからでした。僕が手にした時は、既にLPではなくCDが主流になっていた時代だったのですが、スウェーデン語で歌われる収録曲の数々に魅了され、すっかり彼女のファンになってしまいました。
(収録曲はAmazonのサイトで試聴できるので、ぜひ。)

モニカを演ずるのはエッダ・マグナソンさんというシンガー・ソング・ライターで、作中の曲目も自身で歌っているとのこと。ルックスも良くて、美人シンガーと謳われたモニカを演じても違和感はありません。

有名になる前のモニカは、一人娘を育てるシングル・マザーとして、電話交換手の仕事をしていたんだそうです。モニカのファンでありながら、そういうプライベートな話は全然知りませんでした。
劇中の彼女は、とても上昇志向の強い女性で、時には家族を犠牲にし、また男を利用し、自分の夢を追い求めます。

一部の映画レビューでは、「嫌な女」の成功譚じゃないかという批評も見られました。しかし、モニカは、どこか憎めない人間味と魅力にあふれています。
確かに、劇中のモニカに全面的に共感することは難しいですが、アーチストの半生を描いた映画としては、とても良い作品でした。時代考証も緻密で、全編をとおしてダレることなく、素敵な音楽と北欧ファッションに彩られたストーリーを楽しめました。
一人娘エヴァ・レナを演じた子役も素晴らしいし、父親役のシェル・ベリィクヴィストさんらも円熟の演技力で映画を支えています。
そしてなんといってもモニカ役のエッダ・マグナソンさん、女優としてのデビュー作とは思えない演技力でした。
モニカ・ゼタールンドがビル・エヴァンスとの共演で世界に知られたように、この映画で世界に知られることになったエッダ・マグナソンさん、今後の活躍も楽しみです。


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