飛行船について~不幸な現実を考えてみる

埋立地に飛行船が降りていたので見てきました。
鹿児島で整備を受けて、桶川のホンダエアポートへ空輸する途中とのことです。
Zeppelin NT
ところが、どうも尾部エンジンに不具合があったらしく、足場のゴンドラを下げて整備作業が始まってしまい、今日の空輸は中止になってしまったようです。
この飛行船、よくこういうことがあるのです。なんとも信頼性の低い機材ですねー。
E/G Maint
また、この飛行船が移動するたびに、何人もの人間や車両が、陸上移動で付いて行くのです。
この中継地でも、、置いてあった大型車両は1台や2台ではありませんし、1日か2日しか使わない臨時の離着陸場だというのに、仮設トイレまで置いてあります・・・。係留するために機材と要員が必要なのは理解できるのですが、機体の移動に動員される人数は、ちょっとやそっとではないようです。
改めて言いますが、ここは単に飛行船の『空輸』の中継地であって、この場所で有償飛行をするわけではないのです。それなのに、何台もの大型車や仮設トイレという非効率。とても必要最低限の地上施設だとは思えないのですが、どうなんでしょう?まるでプチ大名行列です。
で、この飛行船、桶川で遊覧飛行をやっているわけですが、その料金がまた非常に高いというので話題になっていました。まあ、この非効率性を見れば、運航コストが高いのも当然です。
加えて、ヘリコプターや飛行機と違い、飛行船は少し風が強いと飛べませんし、遊覧飛行の最少催行人員も5名以上と多いので、その点でも敷居が高いです。
結局、遊覧飛行ならヘリコプターや小型飛行機が便利かつ現実的で、これほど非効率で不経済な飛行船などを使う合理的な理由は、どこにもありません。
実際、行楽地の遊覧ヘリコプターなんか、とても簡単に運航されています。行楽客がヘリコプターに気軽に近寄ってきて、その場で興味を持って乗るのが普通です。
ところが、この飛行船ときたら、まるでアイドルタレントのような扱いで、見に来た人たちを一生懸命に追い払っています。(笑)
もちろん、これは飛行船が悪いわけではありません。飛行船を運航している会社に航空機運航のノウハウや経験が全くないので、安全確保の名目で、面倒を避けたいだけなのでしょう。
しかし、こんな状況では、飛行船事業の将来なんて、ますます真っ暗ですね。
この飛行船を運航している日本飛行船という会社は、日本郵船の子会社として発足したのですが、親会社の日本郵船は早々に「黒字化への道のりは遠い」との判断を下し、株式を別の会社に売却してしまいました。
実に賢明です。
また、日本飛行船では、飛行船が『環境に優しい』とアピールしてますが、他の航空機に比較して、飛行船の運航コストや経済性が著しく劣っていることは、搭乗料金だけを見ても明らかです。エンジンだって、通常の航空機用ガソリンエンジンを3基も積んでいて、なんら環境に優しいわけではありません。
つまり、飛行船が『エコ』だなんてイメージには、なんの根拠もなく、むしろ輸送効率や運航効率が悪くて不経済であり、環境に優しくなんかないというのが実情です。
ZNT FRONT VIEW
私は空を飛ぶ乗り物が好きなので、飛行船が飛ぶことは嬉しいんですが、この様子では、飛行船に間違ったイメージだけが付きまとい、挙句に事業の不採算という、悪しき前例が重ねられるだけのように思えて、とても残念です。
飛行船に勝手なイメージを植えつける前に、飛行船の事業運航は、世界中でも軟式飛行船による広告事業くらいしか生き残っていないという現実を、改めて真面目に考えてみたいですね。


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