なぜB-52は100年使えるのか

米軍の報告書(2004年)から抜粋翻訳しましたので掲載しておきますね。

B-52Hは高空任務機として設計されたが、1960年代には低空飛行にも対応することになった。より過酷な低空飛行に対応するために、1960年代から1970年代にかけて、構造上の問題を解決するために多くの改良が行われた。

図は、1963年から1979年の間に行われた3億600万ドルの投資を示している。

現在の機体寿命は個々の航空機の使用履歴により異なるが、32,500時間から37,500時間と見積もられている。この推定値は、過去および予測される使用状況に加えて、想定されたミッションプロファイルを用いた実大試験によるスケーリング測定に基づいている。

上図に示すように、主翼の上面が寿命を縮める構造部材となることが予想されている。タスクフォースはB-52H SPO(System Program Office)とボーイング社に相談し、この推定値を再確認した。

1999年の時点で、平均的な機体の飛行時間は14,700時間であった。ボーイング社は自信を持って、平均残存飛行時間は最低でも17,800時間であると考えている。最も「古い」B-52Hは約21,000時間で、年間の飛行時間は約380時間しかない。

飛行時間とサイクルで測定すると、B-52Hは現在、限界のある構造部材である主翼上面の経済的寿命の半分を超えたところである。現在の構造解析では、B-52Hが低空飛行を行うと仮定した場合、2040年まで現役に留まることが可能であることが、高い確度で示されている。しかし、B-52Hはもはや低空ミッションには使用されておらず、2037年という見積もりは保守的かもしれない。

国内線を飛行する民間航空機は、年間約3,000時間の飛行時間と約2,500回のサイクルを経験する。国際線を飛ぶ民間航空機は、年間約4,500時間の飛行時間と約1,000回のサイクルを経験する。どちらの場合も、任務遂行率は約99%である。この割合であれば、B-52Hの主翼上面の寿命を基準にすると、10年程度の寿命しかない。しかし、B-52Hの年間稼働率は商用機の10分の1程度なので、B-52Hは約10倍、つまり約100年の寿命を持つことになる。

現在飛行しているボーイング747の多くは、機体の使用時間が3万時間から4万時間に達している。これらの古い機体は、稼働率(任務遂行能力)が約50%しかなく、メンテナンス上の問題が発生し始めており、問題は急速に増加している。相対的に言えば、B-52Hは若い機体である。


なぜB-52は100年使えるのか」への2件のフィードバック

  1.  こんばんは.
     ここ30年以上、話題のB-52配備継続問題の解説、ありがとうございます。確かに軍用機は商業機のように毎日飛ぶことはないでしょうから、まだまだ構造寿命が残っているというのは伺うと納得です。  ま、まだ飛んでいるDC-3/C-47などもあるのですから驚愕するほどのことではないのでしょうねえ。
     後、エンジン換装がついに具体化のようですけど、かつて言われた双発化でもなく4発でもなく8発のままのようですね。それでも信頼性、整備性と燃費は劇的に良くなるのでしょうが、いかにも地味で寂しい限り。4発化を避けた理由は何なのでしょうか?エンジンをパイロンで翼下に吊ってマスバランスにしているわけですが、現行の2発セットを1発にすると軽すぎるということでしょうか?それとも2乗3乗則で、同じ総推力なら双発や4発よりも8発にした方が軽く出来て性能が良くなるということでしょうか?それとも単に改造経費が一番安いからということなのでしょうか?TF33とBR725を比べると重量も推力もほぼ同じで、”より速くより高くより遠くへ”心的には不満足であります。もっとも、米政府は”そんなことに費やすくらいならビッグベリー改修でもした方がマシってもんだろ”とでもいうのでしょうが。
     そもそも論を言えば米帝が絨毯爆撃機を未だにこれからも持ち続けていること自体が悪いのですけどね。
     先頃、最新のシリア情勢を検索したところ、撤兵どころか国境油田地帯他に国連憲章違反の侵略たる在シリア勝手に米軍基地が並んでる由。
    中国よりも遥かにヤバいというもので。

    1. エンジン選定の経緯はあまり承知していないのですが、一時期言われていたような、2基のクラスターを1基にまとめるという方法は、機体側から言わせていただくと、ややインパクトが大きいような気がします。
      エンジンの基数が変わると、燃料などの制御系統もそうですが、電源、油圧、空調など、機体側システムでの設計変更レベルが高くなってしまい、これが開発コストとリスクの増大を招きます。構造の面でも、基数や配置をそのままとしたほうが、設計変更の規模は小さく済みそうです。
      補給や整備の面ではエンジン基数を減らすメリットは大きいように思いますが、改造に要する開発コストや技術リスクとトレードオフの結果、こうした方針に至ったのではないかと思います。

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