Twitterとユーザーの関係とは

僕のアカウント @booskanoriri が永久凍結されてから、ある弁護士さんから支援の申し出をいただき、何回かのメールのやり取りの後、直接お話しする機会もいただきました。
僕はまったく法律の分野に疎いので、とても勉強になる経験です。

しかし、現実にはTwitterのようなサービスを巡る司法判断の事例は乏しく、よく報じられている裁判事例なども、ほとんどはTwitterにおける「名誉棄損」などが争点であって、Twitter社に対しては被告ユーザーの情報開示に関わる判断が下される程度のようです。

そして、ユーザーがTwitterを相手取った争いは、少なくとも日本においては例がないのではないか、ということです。
これについては、Twitterの利用がいわゆる「無償」であることや、米国に本社が存在することなど、インターネット上のサービスに特有の事情が影響していると思われます。

こうしたことから、Twitter社に対するユーザー側の権利主張は解決しにくく、ユーザーが泣き寝入りを強いられているのが現状のようです。
ユーザーがTwitter Japanを訪ねても、アメリカ本社がやってるから、と門前払いされる理由は、こうした構図に落とし込んでしまえば、日本のユーザーは黙るしかない、とTwitter側が見透かしているからです。

もちろん、ユーザーが無理筋な話を持ち込んでくる可能性もあるわけですから、Twitter側が最もコストのかからない方法で門前払いしようとするのは、理解できる面もあります。
しかし、そのことによって多くの問題が生じるようになっており、歯止めとしてなんらかの楔を打つ必要があるのではないだろうか、というのが、僕の考えです。

Twitterの利用契約

Twitterを利用するにあたり、Twitter社とユーザーは規約に同意し、利用契約を結ぶことになります。この「契約」において、ユーザーは利用料の支払いなどの義務を負いませんので、Twitterはいわゆる「無償サービス」だと言われます。
このために、Twitter側がユーザーの利用権限(アカウント)をどのように処分しようとも、Twitter社はなんら責めを負わない、という構図が成立するように見えてしまいます。

こうした見かけ上の構図があるために、Twitter側が一方的にアカウントやツイートを操作しても、ユーザーは泣き寝入りするしかないのではないか、という印象があります。
多くの人が「タダなんだから仕方ない。嫌なら使うな。」という理屈で思考停止してしまうのは、まさにこの「無償サービス」というトリックが鍵です。

Twitterのビジネスモデル

かつての常識であれば、Twitter社は自らのシステムをユーザーに利用させる代わりに、ユーザーから利用料金を徴収する、といったビジネスモデルが考えられます。
しかし、これでは閉じられた掲示板が構築されるだけで、幅広いユーザーを獲得することはできません。

TwitterやFacebook、Googleなどの比較的新しいビジネスモデルは、利用者から料金を徴収することなく、そこに掲載される広告を募ることで利益を得ています。つまり、顧客は広告主であり、一般の「ユーザー」は「無償」でシステムを利用する立場になるわけです。
こうすることで、Twitter社は顧客である広告主に対して、無償で利用する膨大なユーザーへのリーチを提供することができるわけです。

さて、Twitter社は「無償」でシステムを提供することで、ユーザーからなにを得ているか。
一番重要なのは、ユーザーによるTwitterの閲覧です。
では、ユーザーはなぜTwitterを閲覧するかといえば、そこにあるユーザーのツイートです。
つまり、無償で利用しているユーザーは、これまた無償で、Twitterに対し、そのコンテンツを提供しているのです。
言い換えると、このビジネスモデルの中において、Twitterユーザーは「無償で書き込みや閲覧を提供している」存在です。Twitterが顧客である広告主に提供している「財」は、すべてユーザーによって提供されているものです。


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