ネット上の作り話

実話と称して2chに書きこまれた作り話が「まとめサイト」で評判になり、ちょっと物議を醸していました。
著名人なんかも釣られてtweetなんかしていたようで、それがまた「まとめサイト」で話題にされています。
2ch「ゲーセンで出会った不思議な子の話」への著名人の反応
騙された方に罪はないかもしれませんが、「めっちゃ泣く」とか「マジ刺さる」とか、あまりにアレな人もいて、さすがに引いてしまいました。
こういう「作り話」はネットのあちこちに転がっていて、純朴な人を感動させたり、商売のネタになったりしています。
ドラマ化された「電車男」なんか、その嚆矢かもしれません。
多くの「作り話」が、誰に指弾されるでもなく、放置されています。
ただの安っぽい恋愛ドラマなら、そういうふうに放置されても、たいした実害は感じません。
しかし、政治的な意図や、差別的な意図を持った「作り話」は、悪質です。
たとえば、下に引用したようなコピペ。どう見ても作り話だと思います。
かなり読んでて気持ち悪くなります。

自衛隊の駐屯地祭・・・・
で例によって変な団体が入り口で、例によってわざとらしくデモをして
来場してきた人達は皆表情が曇る。
響く拡声器の音・・・・喚く集団・・・・中には子連れで泣き叫ぶ女まで・・・
盛り上がるデモ隊
その集団に向かって、大きな旅行カバンを持った一人の女子高生が向かっていく。
少女「なんやあんたら地元の人間か?」少女は関西弁で話しかける
団体の先導「私達は全国から集まった市民団体で憲法に背く自衛隊の・・・云々」
少女は見る見る怒りの表情に変わる
「・・・・・・で、そろいも揃って何しにきたんや?」
団体の先導「憲法違反である自衛隊賛美ひいては軍国主義への増長へと繋がる・・・云々」
演説が続く中、さえぎるように「オイ!!!」と少女は怒号する
少女「私は神戸から来た人間や。はるばる電車のって何しにここまで来たかわかるか?」
団体「・・・・?」
少女「ええか・・・・地震で埋もれた家族を瓦礫よかして助けてくれたのはここの部隊の人や。
冬の寒い中ご飯作ってくれて、でかい釜作って風呂沸かしてくれてくれたのもここの部隊の人や。
夜は寝ないで槍持って泥棒やレイプ起きひんようにパトロールしてくれたのもここの部隊の人や。
そして・・・・・」
少女は、涙を流し始めた
「そして、自分らの食う分の食べ物まで、家無くした年寄りに分けてくれたのもここの部隊の人達や。
私は、その人たちにお礼を言いに来たんや。邪魔するな!!!」
周りには話し声一つ聞こえない・・・・
最後に、涙を堪え、搾り出すように少女が言った
「あんたらにわかるか?
消防車が聞こえても通り過ぎるだけの絶望感が!
助けを呼ぶ声が聞こえなくなってゆく絶望感が!
燃えカスみたいになった・・・めちゃくちゃになった街へ
ここの人らは歩いて来てくれはったんや・・・・」
最初、怒鳴り散らすように話し始めた少女は次第に涙声に変わっていった。
団体は、波が静かに引くように、ちりジリに帰ってゆく・・・・
大きなカバンを抱えた彼女は、駐屯祭への門をくぐった時に
守衛の自衛官が彼女に直立不動のまま敬礼していた。
その敬礼は、彼女が人ごみに消えるまで続けられていた・・・・・

前述した「ゲーセンで出会った女の子」の話と同じく、これも嘘だと証明することはほとんど不可能です。
せいぜい、コピペの元をたどって、作り話の生い立ちを探るくらいが関の山。
この話を創作した人は、自衛隊が好きで、左翼団体が大嫌いな、いわゆる「愛国者」を自認する人でしょう。
でも、こういう作り話が大衆を慰撫するという現実は、日本人として、とても恥ずかしいと思うわけです。